老婆心

先日、近所にタイ居酒屋を発見。
これまで一度も通ったことがない裏道に、ひっそりたたずんでいた。
アジアはおろか外国のにおいもほとんどしない、完璧な住宅地。
まさかこんなところに、タイ料理があろうとは。
ひたすら驚きに尽きる。


店はあいにく準備中だったのだが、
オットが店の中をじーっと覗き込んでいたら、中年女性が出てきた。
聞けば、アジア好きの彼女がひとり切り盛りしていて、タイ人は働いてなかった。
アジア好きは話好き。
立ち話もなんだからと、中へ通され談笑スタート。


タイやラオスの話でひとしきり盛り上がった後、彼女の娘の話題へ。
娘は、客として訪れたムエタイ選手と付き合ってるらしく、
店内には、ムエタイ関連のポスターがたくさん貼られていた。
タイ語も独学で相当マスターし、結婚も視野に入れているらしい。
母親である彼女は、うれしげにそう語っていた。
するとオットがいきなり水を差す。
ムエタイ選手はちょっと心配。遊び人や金遣いが荒い人が多いから」。
にわかに彼女の顔が曇ったので、
もちろん人それぞれだからと慌てて茶を濁し、話題をすり替えた。


後で注意すると、だって本当のことだからと不服げ。
「タイやラオス人なら、誰でもみんなそう思っています」。
確かにそうかも知れないけど、何もあの場で言わなくても。
オットのこうした老婆心が、時々小さな摩擦を起こす。