陣痛

少々古い話になるけれど、産みの苦しみ、陣痛の切なさ。
忘れないうちに書いておきます。


陣痛は、ひどい腹ピーと同じ。
波のようにやってくる鈍い下腹部痛はもちろん、もれそうな感覚も。
ピークには頭がくらくら、気が遠くなり、
お腹を抱え込んで、うううと唸る。


真夜中に「腹が下った!」と目が覚め、慌ててトイレへ。
でも何も出ない。波が去り、再び寝る。
もとよりおなかが弱く、こんなことはわりとしょっちゅうあるので、
これが陣痛だとは思いもよらない。
出るもん出て早く終われと願っていたのだが、
波を3度ほど繰り返し、ようやく、はたと気付いた。


それからは、あれよあれよという間。
すでに10分間隔だったものが、まもなく5分間隔に進み、
すぐタクシー! すぐ肝っ玉母ちゃんのもとへ!
結局目が覚めてから4時間半でコドモが誕生した。


今振り返って、本当のピーと違っていたのは、
自然と股関節をめいっぱい広げようとしていたこと。
いわゆる「いきみ逃し」。
事前学習していたわけではないのに、
そうすることで多少痛みが和らぐことを、体が知っていたらしい。


陣痛は確かに痛い、苦しい、切ない。
でもかつて。もっと痛烈なピーも、過酷なピーもあった。
余裕じゃないけど、余裕です。